示談が成立したら不起訴になる?|起訴されないためにすべきこと


法政大学法学部卒業
学習院大学法科大学院修了
アトム法律事務所
アトム市川船橋法律事務所
令和5年1月 西船橋ゴール法律事務所開業
所属:千葉県弁護士会
刑事事件を起こしてしまった場合、「示談をすれば不起訴になるのか」「前科をつけたくない」「仕事や家族への影響を最小限にしたい」と考える方は非常に多いです。
実際に、示談と不起訴は刑事事件において深く関係しています。
もっとも、示談が成立したからといって、必ず不起訴になるわけではありません。
一方で、示談が成立していない場合は、起訴される可能性が高くなるケースもあります。
そのため、「示談をどう進めるべきか」「不起訴を目指すには何が必要か」を早い段階で理解することが重要です。
この記事では、以下のポイントについて、刑事事件の実務を踏まえて詳しく解説します。
この記事でわかること
✅ 示談と不起訴の関係
✅ 示談成立で不起訴になる可能性
✅ 不起訴処分を目指すためにすべきこと
✅ 弁護士に依頼するメリットについて、
目次
示談と不起訴の関係とは?

弁護士
まず、「示談」と「不起訴」がどのような関係にあるのかを理解しておきましょう。
示談とは?
示談とは、刑事事件の加害者と被害者が話し合いを行い、被害弁償や謝罪、示談金の支払いなどを条件として、事件の解決を図ることです。
たとえば、以下のような内容が示談に含まれます。
示談に含まれる内容の例
✅ 被害者への謝罪
✅ 被害弁償
✅ 示談金の支払い
✅ 今後接触しない約束
✅ 被害届の取り下げ
✅ 宥恕(許す意思)の表明
特に刑事事件では、「被害者が加害者の処罰を望んでいない」という内容が、検察官の判断に大きく影響するケースがあります。
不起訴とは?
不起訴とは、検察官が「起訴しない」と判断することです。

弁護士
不起訴処分になると、刑事裁判は行われず、前科もつきません。
逮捕された場合でも、不起訴になれば前科は回避できます。
そのため、「示談をして不起訴を目指したい」と考える被疑者や家族は非常に多いです。
なお、不起訴には以下のような種類があります。
不起訴の種類
・嫌疑なし
・嫌疑不十分
・起訴猶予
このうち、示談が大きく影響するのは「起訴猶予」です。
起訴猶予とは、「犯罪事実は認められるものの、反省状況や示談成立などを踏まえて、今回は起訴しない」という不起訴処分です。
示談が成立すれば不起訴になる?
結論から言うと、示談が成立すると不起訴になる可能性は高まります。
ただし、示談が成立したからといって、必ず不起訴になるわけではありません。
示談成立で不起訴になりやすいケース
以下のようなケースでは、示談成立によって不起訴となる可能性があります。
✅ 初犯である
✅ 軽微な刑事事件である
✅ 被害が比較的小さい
✅ 被害者が処罰を望んでいない
✅ 深く反省している
✅ 再犯可能性が低い
たとえば、痴漢、盗撮、暴行、傷害、窃盗などでは、示談成立によって不起訴処分となるケースが少なくありません。
特に親告罪では、示談成立と被害届の取り下げが重要になります。
示談の方法
きちんと示談できるようにするには、まずご依頼者と弁護士が協議し、被害者の方へ真摯な反省が伝わるよう心がけます。
なぜこのような行為に至ってしまったかや、どのような償い(金銭やその他安心していただくための条件設定)ができるかを整理します。
それから、弁護士が警察や検事へご連絡をして、被害者の方とお話をしたい旨お伝えします。
その際、連絡をとるのはあくまで弁護士であり、加害者には被害者の方の情報を決して漏らさないこともお伝えします。
被害者の方と連絡がついたら、電話や対面でお話をさせていただき、依頼者と協議した反省の言葉を伝え、弁済額の提示を行います。
金額や各種条件にご納得いただいたら、その内容を警察官や検察官にも証明できるように、きちんと法律文書にまとめます。
※この際、弁護士がついている場合の示談書作成にあたっては、加害者の住所や連絡先は書かず、加害者○○○○代理人弁護士□□□□と記載します。
その書面を提出し、示談となるケースが多数あります。

弁護士
弊所での示談不起訴経験も多数あります。
実際にあったケース
弊所の事例をご紹介します。
会社の飲み会で口論となり、同僚を殴ってしまったAさんがいました。
殴られた方が病院に行ったところ、鼻の骨が折れていると発覚し、Aさんは、傷害罪として警察に逮捕されてしまいました。
Aさんの奥様がインターネットから弊所を見つけ、連絡をくださり、弁護士が活動スタートしました。
弁護士は、警察署にいるAさんと会ったうえで、Aさんが反省しており、示談を望んでいることを確認しました。
そこで、まずはAさんがきちんと会社に勤めている方であることと、上司が監督(当事者どうしを接触させないこと)を申し出てくれていることを検察庁への書面として提出し、Aさんは逮捕から2日目に釈放されました。
それから、弁護士から被害者の方へ連絡をしました。
鼻の骨折の痛みがまだあり、今後の不安があるとのことでした。
弁護士は、事前にAさんと話したとおり、治療費と、適正な慰謝料をきちんとお支払いする約束をし、示談書を作成しました。
それを、上司や家族の上申書と共に提出し、不起訴となりました。
鼻骨折は打撲と異なり大きなけがですが、このように示談成立により不起訴になる例も多いです。
弊所の統計上、これらの罪の初犯で示談が成立したケースの90%以上が不起訴となっています。

弁護士
初犯の痴漢、盗撮、暴行、傷害、窃盗については、やはり示談が重要です。
実際にあったケース
2回目で余罪ありでも不起訴となった例
2回目以降の犯行である場合や、余罪多数の場合は、弁護活動において示談以外にも工夫が必要です。

弁護士
例えば、これまで弊所で担当した事件で、このような例があります。
盗撮事件で、余罪がたくさんある方がいました。
検挙されたのは今回がはじめてでなく、警察官が携帯電話データを解析した結果、数百件の盗撮を行ってしまっていたことが発覚しました。
弁護士は、被害者(検挙は1件のため被害届を提出したのも1人)の方に反省を伝え、何とか示談をしました。
ですが、検察官からは、「ここまで余罪が多い場合、今回不起訴にしてもまた再犯に及ぶのではないか、不起訴にしてよいか迷う」と言われてしまいました。
そこで、弁護士とご依頼者が話し合い、再犯に及ばないようにクリニック通院を開始しました。
そのクリニックで依頼者の方が学んだことについて、弁護士が聴き取り、真摯に治療に取り組んでいることとその成果を書面にまとめ、検察官への不起訴意見書として提出しました。
その結果、検察官から、今回は更生に期待するとの判断を得て、不起訴処分となりました。

弁護士
弊所では、示談をするのみでなく、検察官に対し、ご依頼者の深い反省と再犯可能性が低いことが伝わるよう、取り組んでいます。
示談しても不起訴にならないケース
一方で、以下のようなケースでは、示談が成立しても起訴される可能性があります。
起訴の可能性が高いケース
✅ 被害が重大
✅ 常習性がある
✅ 前科前歴が多い
✅ 悪質性が高い
✅ 社会的影響が大きい
✅ 組織的犯罪
たとえば、重大な傷害事件、不同意性交等罪、飲酒運転による重大事故などでは、示談が成立しても起訴されるケースがあります。
つまり、示談は不起訴を目指すうえで非常に重要ですが、「示談=必ず不起訴」ではない点には注意が必要です。
検察官は示談のどこを見て不起訴を判断する?
検察官は、単に示談が成立したかのみを見ているわけではありません。
刑事事件では、以下のような事情を総合的に判断して、不起訴にするか決定しています。
検察官が見るポイント
✅ 被害者感情
✅ 加害者の反省状況
✅ 示談成立までの対応
被害者感情
刑事事件では、被害者の処罰感情が重視されます。
示談によって被害者が納得し、「厳しい処罰を求めない」となれば、不起訴処分につながる可能性があります。
逆に、示談が成立していない場合や、被害者感情が強い場合は、起訴される可能性が高くなります。
加害者の反省状況
反省文の提出、謝罪、再発防止策なども重要です。
「本当に反省しているか」「再犯のおそれがあるか」は、検察官が不起訴を判断する重要なポイントです。
示談成立までの対応
逮捕後すぐに弁護士へ依頼し、迅速に示談交渉を進めた場合、「誠実に対応している」と評価されるケースがあります。
逆に、連絡を放置したり、不誠実な対応をすると、不起訴が難しくなる可能性があります。
示談で不起訴を目指すためにすべきこと
では、示談によって不起訴を目指すためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。
できるだけ早く弁護士へ相談する
刑事事件ではスピードが非常に重要です。
逮捕後、検察官は限られた期間で起訴するか判断します。
そのため、示談を進める時間は長くありません。

弁護士
特に勾留されているケースでは、早期に弁護士へ法律相談する必要があります。
被害者へ直接連絡しない
「自分で謝罪したい」と考える方もいますが、加害者本人が直接連絡するとトラブルになるケースがあります。
被害者が恐怖を感じたり、「圧力をかけられた」と受け止める可能性もあります。
そのため、示談交渉は弁護士を通じて行うことが重要です。
示談金だけで解決しようとしない
示談では、単にお金を払えばよいわけではありません。
被害者が求めているのは、「誠実な謝罪」や「反省している姿勢」であるケースも多いです。
形式的な対応では、示談成立につながらないことがあります。
再犯防止策を示す
不起訴処分を目指す場合、再犯防止策も重要です。
たとえば、以下のような対応が考えられます。
再犯防止策の例
✅ カウンセリングを受ける
✅ 家族が監督を約束する
✅ アルコール治療を受ける
こうした事情は、検察官の不起訴判断に影響する可能性があります。
示談で不起訴を目指す場合に弁護士に相談するメリット
示談によって不起訴を目指す場合、弁護士への依頼には大きなメリットがあります。
被害者と適切に示談交渉できる
刑事事件では、加害者本人には被害者の連絡先が開示されないケースが多いです。
弁護士であれば、検察官を通じて被害者へ連絡し、適切に示談交渉を進めることができます。
また、被害者感情に配慮しながら対応できるため、示談成立の可能性が高まります。
不起訴に向けた弁護活動ができる
弁護士は、示談成立だけでなく、不起訴処分を目指した弁護活動を行います。
たとえば、以下のような対応です。
弁護活動の例
✅ 示談書の作成
✅ 検察官への意見書提出
✅ 反省文のサポート
✅ 再犯防止策の整理
✅ 家族との連携
不起訴を目指すには、「示談した」という事実だけでなく、「今後再犯しない」という事情も重要になります。
早期釈放につながる可能性がある
示談成立は、勾留の必要性を下げる事情にもなります。
その結果、早期釈放につながるケースがあります。
仕事や家族への影響を最小限に抑えるためにも、早い段階で弁護士へ依頼するメリットは大きいです。
家族の精神的負担を軽減できる
突然の逮捕や刑事事件では、家族も大きな不安を抱えます。
「このまま起訴されるのか」「前科がつくのか」「会社に知られるのか」と悩む方は少なくありません。
弁護士へ相談することで、今後の流れや不起訴の可能性について具体的な説明を受けられるため、精神的負担の軽減にもつながります。
示談と不起訴についてよくある質問
示談が成立すれば前科はつかない?
示談成立後、不起訴になれば前科はつきません。
示談成立=不起訴ではありません。
示談成立だけで前科がなくなるわけではなく、不起訴処分となる必要があります。
逮捕されていなくても示談は必要?
逮捕されていないケースでも、示談は重要です。
在宅事件でも、検察官は起訴するか判断します。
その際、示談成立は有利な事情になります。
家族が示談交渉することはできる?
家族が対応するケースもありますが、トラブルになる可能性があります。
被害者対応は非常に慎重さが必要なため、弁護士へ依頼することをおすすめします。
示談金の相場はいくら?
事件内容や被害状況によって異なります。
数万円程度のケースもあれば、数十万円以上になるケースもあります。
重要なのは、「相場」を基準にしながらも、被害者が納得する内容であることです。
まとめ|示談成立は不起訴の可能性を高める重要なポイント
示談と不起訴は、刑事事件において非常に深い関係があります。
示談成立によって、不起訴処分となる可能性は高まります。
特に、初犯で反省しており、被害者感情が和らいでいるケースでは、起訴猶予による不起訴となることがあります。
もっとも、示談が成立したからといって、必ず不起訴になるわけではありません。
そのため、不起訴を目指すには、以下の対応が重要です。
不起訴を目指すためにすべきこと
✅ 早期に弁護士へ相談する
✅ 適切に示談交渉を進める
✅ 誠実な謝罪を行う
✅ 再犯防止策を示す
刑事事件では、初動対応によって結果が大きく変わるケースがあります。
前科を回避したい、不起訴を目指したいと考えている場合は、西船橋ゴール法律事務所にご相談ください。
示談経験の多い刑事弁護士が弁護サポートいたします。
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